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フリーランスの国民年金・国民健康保険の仕組み|会社員との違い、免除、付加年金などの上乗せ、副業の場合

結論から言うと、フリーランスは会社員と違い、国民年金(定額)と国民健康保険(所得などで決まる)に自分で加入し、自分で払います。令和8年度の国民年金保険料は月17,920円(年215,040円)です。国保は自治体ごとに計算方法と金額が違い、前年の所得が反映されるため、売上が伸びた翌年に上がりやすい項目です。

この記事では、会社員との違い、国民年金の保険料と免除・納付猶予、国保の算定の考え方、付加年金などの上乗せ、副業の会社員の場合を、日本年金機構と国税庁の公表情報(2026年10月13日確認)にそって整理します。国保の料率や上限額、減免の条件は自治体で異なるため、具体的な数字は載せず、確認方法を示します。

公開:2026-10-13|最終確認:2026-10-13|約6600字

会社員とフリーランスで、年金と健康保険はどう違うか

会社員は、会社を通じて厚生年金と健康保険に入り、保険料は給与から天引きされます。会社が半分を負担する仕組みです。フリーランス(個人事業主)は、原則として国民年金と国民健康保険に自分で加入し、自分で納付します。会社の負担分はなく、請求書や納付書にそって自分で払います。

項目会社員フリーランス
年金厚生年金(国民年金に上乗せされる形)国民年金のみ
年金の保険料給与に応じた金額(会社と折半)定額。令和8年度は月17,920円
健康保険勤務先の健康保険市区町村の国民健康保険
健康保険の保険料給与に応じた金額(会社と折半)前年の所得などで決まる。自治体で異なる
納め方給与から天引き自分で納付(納付書・口座振替など)

会社員からフリーランスになったときは、自分で国民年金と国民健康保険の手続きをする必要があります。手続きの期限や必要書類は、お住まいの市区町村の窓口で確認してください。なお、条件によっては、勤務先の健康保険を続ける制度(任意継続)や、家族の被扶養者になる選択肢もあります。条件は加入していた健康保険や家族の勤務先で異なるため、この記事では扱いません。

保険料は税金とは別の「固定費」です。納税資金とあわせて、毎月いくら動くかを納税資金の積立目安ツールや税金・手取り概算ツールで確認しておくと、資金繰りが安定します。全体の納付時期は税金と社会保険のために毎月いくら取っておくかの記事にもまとめています。

国民年金:保険料は定額で、令和8年度は月17,920円

金額と納付期限

日本年金機構のページによると、令和8年度の国民年金保険料は月額17,920円です。年額にすると215,040円になります。所得が多くても少なくても、免除などを受けない限り同じ金額です。これは当サイトの各ツール(税金・手取り概算、納税資金の積立目安、ふるさと納税の控除上限額)で使っている数値と同じです。

納付期限は、納付対象月の翌月末日です。末日が土日祝日や年末年始(12月31日、1月2日、1月3日)にあたる場合は、翌月最初の金融機関等の営業日になります。

前納すると少し安くなる

まとめて前払いする前納には割引があります。日本年金機構の前納のページ(令和8年度)では、毎月17,920円を納める場合と比べて、次のとおり示されています。

前納の種類納付書・クレジットカード払い口座振替
6か月前納106,650円(870円割引)106,300円(1,220円割引)
1年前納211,220円(3,820円割引)210,530円(4,510円割引)
2年前納418,510円(16,010円割引)417,150円(17,370円割引)

割引は魅力的ですが、一度にまとまった資金が出ます。納税資金に余裕がない時期は、無理に前納せず、入金予定・資金繰りカレンダーで資金の山谷を見てから決めると安全です。申込方法や締切は日本年金機構の案内で確認してください。

将来の年金額の目安

日本年金機構の免除制度のページには、令和8年度の例が載っています。昭和31年4月2日以後生まれの人が40年間すべて納付した場合の老齢基礎年金は、年額で約847,300円です。会社員のように厚生年金がない分、国民年金だけだと老後の年金は少なくなります。後の章で説明する上乗せ制度の検討が、フリーランスでは大切になる理由です。

保険料は社会保険料控除の対象

国税庁のNo.1130によると、支払った国民年金保険料は、その年に実際に支払った金額の全額が社会保険料控除の対象になります。確定申告では、保険料の金額を証明する書類(控除証明書など)を添付するか、提示する必要があります。令和8年分以後の所得税については、令和9年1月1日以後に確定申告書を提出する場合、一定の事項を記載した明細書を添付すれば、証明書類の添付や提示に代えられる特例があると同ページにあります。実際の手順は申告の時期に国税庁の案内で確認してください。控除証明書は、毎年秋ごろに日本年金機構から届くのが通例なので、届いたら捨てずに保管しておきましょう(時期や発送の有無は年によって異なる場合があります)。

国民年金の免除・納付猶予・学生納付特例

収入が少なく保険料を払うのが難しいときは、払わずに放置するのではなく、申請して免除や納付猶予を受ける方法があります。日本年金機構のページによると、種類は次のとおりです。

  • 全額免除
  • 4分の3免除
  • 半額免除
  • 4分の1免除
  • 納付猶予(20歳から49歳までが対象)

審査は前年の所得で行われます。同ページの所得基準は、全額免除と納付猶予が「(扶養親族等の数+1)×35万円+32万円」、4分の3免除が「88万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等」、半額免除が「128万円+同」、4分の1免除が「168万円+同」です。障害者、寡婦、ひとり親などに該当する場合は基準額が変わります。目安の確認のしかたは、ご自身の前年の所得と扶養家族の人数を当てはめるのが基本ですが、実際の判定は申請先で行われます。

年金額にどう反映されるか

免除を受けた期間も、年金を受け取るための期間(受給資格期間)には算入されます。年金額への反映の割合は、同ページによると次のとおりです。

区分年金額に反映される割合(全額納付を1とした場合)
全額免除2分の1(国庫負担分)
4分の3免除8分の5
半額免除8分の6
4分の1免除8分の7
納付猶予年金額には反映されない

同ページの令和8年度の例では、40年間すべて全額免除だった場合の年金額は約423,650円で、全額納付の約847,300円の半分です。納付猶予は、受給資格期間には入りますが、年金額は増えません。

追納で取り戻せる

免除や納付猶予を受けた期間の保険料は、10年以内であれば後から納めて(追納)、年金額を全額納付に近づけられます。3年度目以降に追納する場合は加算額がつくことがある、と学生納付特例のページにあります。収入が回復したら、追納を検討する価値があります。

学生納付特例

学生は、申請により在学中の保険料の納付を猶予される学生納付特例があります。審査は学生本人の所得のみで行われ、家族の所得は問われません。承認期間は受給資格期間には入りますが、年金額の計算の対象にはなりません。追納は10年以内です。また、申請が遅れると、申請前の事故や病気による障害基礎年金を受け取れない場合があるため、早めに申請することが大切です。

産前産後期間の免除など、ここで扱っていない制度もあります。対象になりそうな場合は、市区町村の国民年金窓口か年金事務所で確認してください。

国民健康保険:保険料の算定の考え方

国民健康保険は、市区町村(東京都の特別区を含む)が運営し、保険料(税)の計算方法も市区町村が決めます。ここで「料率は○%」と一律に言い切れないのはそのためです。多くの自治体で共通する考え方として、次の点が挙げられます。

  • 保険料は複数の区分の合計:医療分、後期高齢者支援金分、40歳から64歳の人にかかる介護分などを合算する形が一般的です。令和8年度からは、子ども・子育て支援金分も加わる自治体があります。
  • 各区分が「所得に応じた部分」と「加入者数に応じた部分」の組み合わせ:前者を所得割、後者を均等割と呼びます。自治体によっては、世帯ごとの平等割がある場合もあります。
  • 前年の所得が基準:会社員時代から独立した最初の年度は、前年の所得(会社員としての給与所得)が基準になります。独立後に売上が増えた翌年に保険料が上がるのは、このためです。
  • 区分ごとに上限額(賦課限度額)がある:どれだけ所得が増えても、一定額を超えることはありません。上限額は制度改正や自治体の判断で変わります。
  • 加入者数で変わる:家族が同じ国保に入っている場合は、人数分の均等割が加わります。

国保料は、年金と違って「これだけ」と断言できません。実額を知るいちばん確実な方法は、お住まいの自治体のホームページにある保険料の試算ページや、窓口、前年に届いた保険料の納入通知書で確認することです。通知書は、納期ごとの金額と、年間の合計額が載っています。納期は自治体で異なり、年10回払いなどの自治体が多い、といわれていますが、通知書の納期が正です。

保険料は経費にならない

国保料も、国民年金と同じく、事業の経費ではなく社会保険料控除の対象です。事業所得の計算では引かず、確定申告書の所得控除の欄に書いて、所得税・住民税の計算で差し引きます。国税庁のNo.1130には、国民健康保険の保険料(税)が対象に含まれる一方、国民健康保険料の証明書類についての規定はそのページには書かれていません。申告時の添付書類は、申告の時期に国税庁の案内か税務署で確認してください。

節約のために押さえたいこと

  • 所得が下がれば、翌年度の保険料も下がる:節税のため経費や控除を増やすと、所得が下がり、国保料にも反映されることがあります。ただし、国保の算定のしかたは自治体で異なるため、どの控除が算定に反映されるかは、自治体の案内で確認してください。
  • 家族の加入状況:家族が会社の健康保険の扶養に入れる条件を満たすなら、国保の人数分の保険料を減らせる場合があります。扶養の条件は、家族の加入先の健康保険で確認します。
  • 軽減・減免の制度がある:所得が低い世帯の軽減制度や、災害・失業などの事情による減免制度を設けている自治体が多いです。具体的な基準は自治体で異なります。

保険料が払えないとき、減免・猶予の考え方

資金繰りが厳しくなった年は、保険料の負担が重く感じられます。ここで大切なのは、払えなくなってから黙って滞納するのではなく、早めに窓口へ相談することです。

  • 国民年金:前の章の免除・納付猶予を、申請して受ける。未納のまま放置すると、将来の年金額が減るだけでなく、障害や死亡といった万一のときの給付(障害基礎年金・遺族基礎年金)が受けられない場合があります。免除や猶予の承認期間は、これらの給付の要件では保険料納付済みの期間と同様に扱われると、学生納付特例のページにあります(免除の種類ごとの扱いは年金事務所で確認してください)。
  • 国民健康保険:失業・廃業・災害などの理由で保険料の減免や分割納付を認める自治体があります。基準と必要書類は自治体で違うので、納入通知書の問い合わせ先に連絡します。

どちらも、制度が使えるかどうかは個別の事情と審査で決まります。「申請しなければ始まらない」ことだけは、共通です。

年金を上乗せする:付加年金・国民年金基金・iDeCo

国民年金だけでは老後の年金が少なくなりやすいので、フリーランスは自分で上乗せを考えることになります。代表的な制度は次の3つです。

付加年金:月400円で年金を増やす

日本年金機構の付加保険料のページによると、国民年金の第1号被保険者と、65歳未満の任意加入被保険者は、国民年金保険料に加えて月額400円の付加保険料を納めることで、将来の年金額を増やせます。増える額は「200円×付加保険料を納めた月数」で、たとえば40年間(480か月)納めると、年額96,000円が加算されます。年金を2年以上受け取れば、納めた付加保険料を取り戻せると同ページにも書かれています。

  • 申込方法:市区町村の窓口や年金事務所などに、国民年金被保険者関係届書(申出書)を提出します。電子申請もできます。申し込んだ月分から納付し、さかのぼりはできません。
  • 加入できない人:保険料の免除・納付猶予・学生納付特例を受けている人と、国民年金基金の加入者です。産前産後の免除は、加入の妨げにならないとされています。
  • 納付期限:翌月末ですが、期限から2年間は納付できます。辞退する場合も、申出書を提出します。

月400円と負担が小さいため、まず検討しやすい制度です。ただし、将来の物価の影響を受けない定額加算であり、国民年金基金とは併用できません。

国民年金基金:公的年金に上乗せする、自営業者向けの制度

国民年金基金は、第1号被保険者向けの上乗せ年金で、付加年金とは同時に加入できません。掛金の上限額、給付の種類、加入・脱退の条件、税制上の扱いは、国民年金基金連合会の公式サイトで確認してください。この記事では、公式ページを確認できなかったため、金額や控除の区分は書きません。

iDeCo(個人型確定拠出年金):掛金が所得控除になる

iDeCoは、自分で掛金を出して運用し、原則として老後に受け取る制度です。国税庁のNo.1135によると、個人型年金加入者掛金は小規模企業共済等掛金控除の対象で、その年に支払った掛金の全額が控除されます。このため、所得税・住民税が下がる効果があります。掛金の上限額(国民年金基金との合算を含む)や、受給開始の年齢などは、iDeCo公式サイトで確認してください。なお、運用商品の元本が保証されない場合があること、原則として途中で引き出せないことには注意が必要です。

節税効果の概算は節税手段の比較ツールで確認できます。上乗せ制度は、一度始めると毎月の資金が固定化されます。生活費の1年分程度の現金を確保したうえで検討するのが、続けやすい進め方です。

副業の会社員の場合はどうなるか

会社員が副業で収入を得ている場合、会社の厚生年金と健康保険に加入していれば、副業のために国民年金や国民健康保険を別に払うことは、通常はありません。副業の所得は、所得税と住民税の計算に加わりますが、国保料や国民年金保険料は発生しない、というのが基本です。

  • 社会保険料は会社経由:副業が事業所得でも、厚生年金・健康保険の保険料は給与(と賞与)から計算されます。副業の所得は、この保険料の計算には入りません。
  • 副業先で雇用される場合:副業先でも一定の条件を満たすと、社会保険の対象になることがあります。条件は勤務先の規模や働き方で変わるため、副業先に確認が必要です。
  • 副業を本業にする場合:会社を辞めると、国民年金と国民健康保険への切り替えが必要です。この切り替えの時期から、この記事の内容が自分のこととして当てはまります。
  • 家族の扶養に入っている人:配偶者などの被扶養者として健康保険や年金に入っている場合、副業の収入が増えると、扶養の条件を満たさなくなることがあります。収入の基準は、加入している健康保険や勤務先で異なるため、扶養をはずれる前に確認してください。

副業の確定申告については副業の確定申告の記事、独立時の届出は開業届の記事に整理しています。

まとめと、まず何をするか

  • フリーランスは国民年金と国民健康保険に自分で加入して払う。国民年金は定額(令和8年度は月17,920円、年215,040円)。
  • 国保は市区町村が決める。所得割と均等割などの組み合わせで、前年の所得が基準。料率・上限額・納期は自治体で異なる。
  • 払うのが難しいときは、国民年金の免除・納付猶予を申請する。国保も自治体に相談する。
  • 上乗せは、付加年金(月400円、国民年金基金とは併用不可)、国民年金基金、iDeCo。iDeCoの掛金は全額が所得控除になる。
  • 副業の会社員は、通常、会社の厚生年金・健康保険のままで、別に国保・国民年金は払わない。

今日からできることは3つです。

  1. 去年の国保の納入通知書を出し、年間の合計額と納期を確認する。
  2. 国民年金保険料の控除証明書が届いたら、確定申告まで保管する。
  3. 保険料が重いと感じたら、国民年金の免除・猶予や国保の減免を、早めに窓口に相談する。

この記事の限界・注意点

  • この記事は、2026年10月13日時点で確認できた日本年金機構と国税庁の公表情報による一般的な説明です。個別の判断は、年金事務所、市区町村、税務署、税理士に確認してください。
  • 国民健康保険料の料率・上限額・納期・軽減や減免の基準は、自治体ごとに異なるため、この記事では具体的な数字を載せていません。お住まいの自治体の公式ページで確認してください。
  • 国民年金基金とiDeCoの掛金上限額と税制の詳細は、公式ページを確認できなかったため、この記事では扱っていません。
  • 制度や金額は毎年変わることがあります。手続きの前に最新の公式情報を確認してください。

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本記事は一般的な情報の提供を目的としたもので、個別の税務・法律相談ではありません。制度は改正されることがあるため、実際の判断は国税庁などの公式情報や、税理士などの専門家にご確認ください。