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確定申告・節税

青色申告と白色申告の違い|65万円・10万円控除の条件と承認申請の期限

結論から言うと、事業所得または不動産所得のある個人事業主・フリーランスで、継続して事業を続けるなら、青色申告を前向きに検討する価値があります。特別控除が最大65万円、赤字の3年繰越し、家族への給与を経費にできる制度などが使えるからです。一方で、複式簿記での記帳や、e-Taxまたは電子帳簿保存の準備といった負担もあります。

会社員の副業で、所得が雑所得にあたる場合は青色申告そのものを使えません。この記事では、青色と白色の違い、65万円・55万円・10万円控除の条件、承認申請の期限、メリットと負担を、国税庁の公表情報(2026年10月8日確認)にそって整理します。

公開:2026-10-08|最終確認:2026-10-08|約5600字

青色申告と白色申告は何が違うのか

所得税は、納税者が自分で所得と税額を計算して申告する制度です。国税庁のタックスアンサーNo.2070は、青色申告を「一定水準の記帳をして、その記帳にもとづいて正しく申告する人に、所得計算などで有利な取扱いを認める制度」と説明しています。青色申告をしない場合が、一般に白色申告と呼ばれます。

青色申告白色申告
事前の手続き青色申告承認申請書の提出と承認が必要申請は不要
対象になる所得不動産所得・事業所得・山林所得すべての所得(申告が必要な場合)
記帳原則、複式簿記。簡易な記帳の方法も認められる事業所得などのある人は記帳が必要。簡易な方法も認められる
特別控除最大65万円、55万円、10万円なし
赤字の繰越し翌年以後3年間国税庁のNo.2070にはこの制度の記載なし(要確認)
家族への給与事前の届出の範囲内で必要経費にできる青色と同じ扱いではない(要確認)

白色申告でも、事業所得や不動産所得がある人には記帳と帳簿書類の保存の制度があります。国税庁のNo.2080では、記帳した帳簿は7年、請求書や領収書などの書類は5年の保存が基本とされています。「白色なら記帳しなくてよい」わけではありません。

青色申告ができる人、できない人

青色申告ができるのは、不動産所得、事業所得、山林所得のいずれかがある人です。給与所得だけの人や、雑所得だけの人は対象外です。

副業の収入が雑所得にあたるか事業所得にあたるかは、収入額だけでは決まりません。国税庁のNo.1350は、事業所得を「事業を営んでいる人のその事業から生ずる所得」としています。No.1500では、副業のうち営利を目的とした継続的なものは「業務に係る雑所得」に区分されるとしつつ、雑所得の損失は他の所得と損益通算できないとしています。区分に迷う場合は、税務署か税理士に確認してください。副業の申告全般は副業・フリーランスの確定申告の記事で整理しています。

青色申告特別控除の3つの区分:65万円・55万円・10万円

青色申告の最大の特典が、青色申告特別控除です。所得から一定額を差し引けるので、所得税・住民税の負担が軽くなります。国税庁のNo.2072では、控除額は次の3区分に分かれます。

控除額主な条件
65万円55万円の要件をすべて満たし、さらに(1)仕訳帳・総勘定元帳を電子帳簿保存している、または(2)確定申告書・貸借対照表・損益計算書などを期限内にe-Taxで送信している
55万円事業所得または不動産所得があり、正規の簿記の原則(一般的には複式簿記)で記帳し、貸借対照表・損益計算書・明細書を確定申告書に添付して期限内に提出している
10万円上記の要件に当てはまらない青色申告者

55万円控除の条件

次の3つをすべて満たす必要があります。

  • 不動産所得または事業所得を生じる事業を営んでいること。
  • 取引を正規の簿記の原則(一般的には複式簿記)で記帳していること。
  • 記帳にもとづく貸借対照表、損益計算書、所得金額の計算に関する明細書を確定申告書に添付し、控除額を記載して、確定申告期限(翌年3月15日)までに提出すること。

注意点として、現金主義による所得計算の特例を選んでいる人は、55万円控除を受けられません。この特例は、前々年分の事業所得と不動産所得の合計が300万円以下の青色申告者が対象で、届出が必要です。また、控除額は損益通算前の黒字の所得が上限で、赤字の所得は0として計算します。つまり、所得が20万円しかない年に65万円の控除を受けられるわけではありません。

65万円控除の条件

55万円の要件をすべて満たしたうえで、次のいずれかに該当する必要があります。

  • 電子帳簿保存:その年分の仕訳帳と総勘定元帳を、電子帳簿保存の方法で保存する。令和4年分以降は、優良な電子帳簿の要件を満たして電子データで備え付け・保存し、所定の届出書を期限内に提出する必要があります。すでにこの要件で65万円の控除を受けていて、引き続き要件を満たしている人は、届出書の提出は不要です。
  • e-Taxによる送信:所得税の確定申告書、貸借対照表、損益計算書などを、提出期限までにe-Taxで送信する。イメージデータ(スキャンした画像)での送信は認められていません。

実務上は、会計ソフトで複式簿記の帳簿と決算書類を作り、e-Taxで申告する形が最もわかりやすい方法です。どの会計ソフトを使うかは、ここでは扱いません。

10万円控除は何が違うか

55万円・65万円の要件に当てはまらない青色申告者が受けられる控除です。控除額は不動産所得・事業所得・山林所得の黒字の合計が上限です。国税庁のNo.2070では、青色申告でも簡易な記帳(現金出納帳、売掛帳、買掛帳、経費帳、固定資産台帳など)が認められているとされていますが、この区分でどこまで簡易にできるかは、国税庁の案内か税務署で確認してください。

制度改正について

青色申告特別控除の見直しに関する報道や議論を目にすることがあります。今回の確認では、令和8年分に適用される控除額と要件は上記のとおり国税庁の案内に記載されています。令和9年分以後の改正内容は、この記事では確認できていません。申告前に最新の国税庁の案内を見てください。

どれくらい税金が変わるのか:目安の考え方

特別控除の効果は、「控除額 × 税率(所得税+住民税)」でおおまかに見積もれます。たとえば、控除前の所得が300万円の人が、10万円控除から65万円控除に変わると、所得が55万円少なくなります。仮に所得税の税率が5%、住民税が10%なら、軽くなる額は目安で55万円×15%=約8.3万円です。ただし、実際は社会保険料控除や基礎控除なども影響し、国民健康保険料にも波及する場合があるため、あくまで目安です。

所得が少ない人ほど、税率が低いので節税額は小さくなります。逆に、所得が大きいほど効果は大きくなります。具体的な金額は節税手段の比較ツールで、控除の違いを並べて確認できます。手取り全体への影響は税金・手取り概算ツールが便利です。

「必ず得をする」とは言えません。青色にするために帳簿づけの時間や会計ソフトの費用がかかる場合があります。かけた手間と軽くなる税額を比べて判断してください。

青色申告のそのほかのメリット

65万円の特別控除以外にも、国税庁のNo.2070が挙げる特典があります。

  • 純損失の繰越しと繰戻し:損益通算をしても控除しきれない赤字は、翌年以後3年間繰り越して、各年の所得から差し引けます。前年も青色申告をしている場合は、繰越しの代わりに前年の所得に繰り戻して、前年分の所得税の還付を受けることもできます。事業を始めた年に赤字になりやすい人には重要な制度です。
  • 青色事業専従者給与:生計を一にする配偶者や親族で、15歳以上かつ事業に専ら従事する人に支払った給与は、事前の届出の範囲内で、適正な額であれば必要経費にできます。ただし、専従者給与を受け取る人は、同一生計配偶者や扶養親族にはなれません。家族の税負担も含めて、全体で判断が必要です。
  • 貸倒引当金:事業所得を生じる事業の青色申告者は、年末の貸金の帳簿価額の合計額の5.5%以下の額を貸倒引当金として必要経費にできます(金融業は3.3%)。

業務委託の報酬が後払いになりやすい人は、貸倒引当金に関心があるかもしれません。ただし、適用の判断は事業の実態によるので、税務署か税理士に確認してください。

承認申請書の期限:間に合わないと1年待つことになる

青色申告を始めるには、青色申告承認申請書を納税地の所轄税務署に提出して、承認を受ける必要があります。国税庁のNo.2070の期限は次のとおりです。

ケース提出期限
原則(すでに事業をしている)承認を受けようとする年の3月15日まで
その年の1月16日以後に新規開業した業務を始めた日から2か月以内
相続で白色申告者の業務を承継した(1月16日以後)承継した日から2か月以内

相続のケースは、被相続人が青色申告者だった場合などで期限が細かく分かれます。該当する人は国税庁の案内で確認してください。

令和8年分を青色でやりたい場合

今日は2026年10月8日です。2026年分(令和8年分)の青色申告承認申請書の原則の期限は、2026年3月15日でした。すでにその日を過ぎているので、事業を2026年1月15日以前から始めていた人は、2026年分の申請はできません。2027年分(令和9年分)から青色にするなら、2027年3月15日までに提出するのが原則です。2026年1月16日以後に開業した人は、開業から2か月以内が期限だったため、すでに過ぎている場合があります。個別の事情は、税務署に確認してください。

ここは誤解しやすいので強調します。「申告のときに青色の書類を出せばよい」のではなく、事前の承認申請が必要です。確定申告の直前に慌てないように、時期を逆算してください。

関連する届出

  • 個人事業の開廃業等届出書:開業の届出です。国税庁のNo.2090に掲載されています。提出期限は、この記事では断定せず、国税庁の最新の案内と税務署で確認してください。
  • 青色事業専従者給与に関する届出書:専従者給与を経費にする場合に必要で、原則はその年の3月15日まで、1月16日以後の開業や新たに専従者を有した場合は、その日から2か月以内です。
  • 青色申告をやめる場合:取りやめようとする年分の確定申告期限までに「所得税の青色申告の取りやめ届出書」を提出します。

青色申告の負担:始める前に知っておきたいこと

メリットが大きい分、負担もあります。次の点を、始める前に確認してください。

1. 記帳の水準

65万円・55万円の控除を受けるには、複式簿記での記帳と、貸借対照表・損益計算書の作成が必要です。毎月の売上、経費、事業用口座の入出金を整理しておかないと、年末に慌てます。

2. 電子化の準備

65万円を受けるには、e-Taxで送信するか、優良な電子帳簿の要件を満たして保存する必要があります。e-Taxを使うには、事前の利用準備が必要です。具体的な方法は国税庁のe-Taxの案内で確認してください。

3. 期限が厳しい

55万円と65万円の控除は、確定申告期限(翌年3月15日)までに必要書類を添付して提出する必要があります。国税庁のNo.2072には、還付申告であっても期限内の提出が必要と書かれています。期限に間に合わない場合の扱いは、国税庁の案内か税務署で確認してください。

4. 帳簿の保存

帳簿は7年、書類は5年の保存が基本です。電子で保存する場合は、要件を満たす必要があります。

5. 費用対効果

所得が小さい人は、65万円控除を受けても所得が0に近くなるだけで、節税額が小さくなることがあります。この場合は、10万円控除でも負担のほうが軽いと感じる人もいます。一方、副業の所得が増えていくなら、早めに複式簿記に慣れておくほうが後が楽です。

どちらを選ぶ?判断の目安

あなたの状況考え方の目安
専業のフリーランス・個人事業主(事業所得)青色申告を前向きに検討。65万円控除を目標に、e-Taxと複式簿記の準備を進める
会社員の副業で、事業として継続している事業所得にあたるかを確認し、あたるなら青色を検討。赤字の繰越しや控除が利用できる
会社員の副業で、小規模な副収入(雑所得)青色申告は使えない。記録の保存を中心に整える
開業したばかりで赤字の見込み赤字の3年繰越しを使えるよう、期限内の承認申請を優先する
記帳に時間をさけず、所得も小さい10万円控除から始めて、慣れたら65万円を目指す方法もある

毎年の記帳と期限内の申告を無理なく続けられるかも、判断材料にしてください。

まず何をするか:5ステップ

  1. 自分の所得区分を確認する。事業所得か、雑所得か。迷う場合は税務署に相談します。
  2. 開業届と、青色申告承認申請書の期限を確認する。次の年から青色にしたいなら、3月15日が原則の期限です。
  3. 記帳の方法を決める。複式簿記でどの道具を使うか、毎月どのタイミングで入力するかを決めます。
  4. 65万円を目指すなら、e-Taxか電子帳簿保存かを選ぶ。電子帳簿保存を選ぶ場合は、届出書の要否を国税庁の案内で確認します。
  5. 節税額を試算する。節税手段の比較ツールで、控除ごとの違いを確認します。申告のスケジュールは税金カレンダーが参考になります。

よくある質問のまとめ

青色申告の承認は、申請すれば必ず得られますか?

国税庁の案内に書かれているのは申請の期限と手続きです。承認の可否の詳細は、この記事では確認できていません。迷う場合は税務署に確認してください。

開業届を出さずに、青色申告はできますか?

青色申告に必要なのは、青色申告承認申請書の提出と承認です。開業届は別の書類です。ただし、事業を始めた事実を税務署に伝える手続きなので、両方を同時に出すのが一般的です。

65万円控除のために、必ずe-Taxが必要ですか?

必須ではありません。電子帳簿保存の要件を満たして、届出書を出す方法もあります。ただし、条件は細かいので、国税庁のNo.2072で確認してください。

白色から青色に途中で変えられますか?

変えられます。ただし、承認を受けようとする年の3月15日までに申請書を出す必要があります。期限を過ぎた場合は、翌年分からになります。

年の途中で青色をやめられますか?

やめる年分の確定申告期限までに「所得税の青色申告の取りやめ届出書」を提出します。

※この記事は一般的な情報の整理であり、個別の税務判断を行うものではありません。迷う場合は税務署または税理士に相談してください。

本記事は一般的な情報の提供を目的としたもので、個別の税務・法律相談ではありません。制度は改正されることがあるため、実際の判断は国税庁などの公式情報や、税理士などの専門家にご確認ください。